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2014-10-05

大久保一蔵が坂本龍馬にプレゼント〜知られざる二人の友情

2014-10-05
大久保一蔵(利通)と坂本龍馬の二人の仲が伺えるエピソードを紹介します。

龍馬、横井小楠に大久保に会った話を

徳富蘆花が、父、徳富一敬(いっけい・かずたか)の談話を聞いてまとめた「青山白雲」に、「沼山津村」という話があり、その中で坂本龍馬が、大久保に会った時の話が出ているので、紹介します。

家厳の話に「坂本龍馬が先生を沼山津に尋ねて来たことがあつた。
丁度自分も居合はして其話を聞いて居たのである。
坂本は其時薩摩から帰りがけと云つたが、今思へば薩長連合に骨折る最中であつたので、坂本は白の琉球緕の単衣に鍔細の大小をさし、色の其黒い大男で至てゆつたりと物言ふ人であつた。
衣服大小皆大久保の呉れたものとか云つて居た。(※1)
家厳…徳富一敬
先生…横井小楠

ちなみに、徳富蘆花の父、徳富一敬は1845年に横井小楠の門下生になった人だそうです。
このとき「沼山津村」(熊本)に、横井小楠を龍馬が尋ねたのは、慶応元(1865)年5月のことかと思われます。



大久保利通が坂本龍馬にプレゼント!?

「衣服大小皆大久保の呉れたものとか云つて居た。」

大久保が坂本龍馬に、白の琉球絣(かすり)の単衣に鍔細の大小を送ったと。
大久保も4月3日から鹿児島に帰国していたので、坂本にも会ったのでしょう。

「鍔細の大小」は薬丸自顕流、示現流で使われる薩摩拵(刀)の特徴だそうで、大久保が坂本に送ったものも薩摩拵の大小だったのだろうと思われます。
また、薩摩拵は、柄の長さが一般的なものより長いそうですね。

古着でしょうか、仕立てたものでしょうか、白の琉球緕の単衣も刀もプレゼントなんて
太っ腹です。

白の琉球絣(かすり)の単衣ってのもオシャレですね。
このエピソードからは大久保と坂本龍馬の仲が伺えます。



「西郷や大久保共がする芝居を見物なさるがようござる」

また、「青山白雲」には、下記のような内容も。

「偖酒が出て人物論が始まつた。客も主人も大分興に入られた様子で、大久保は云々、西郷は云々、誰は云々。
其時先生は盃右手にとつて、「乃公は如何だ」。坂本はほこりと笑つてゆるゆると「先生ァまあ二階に御座つて、綺麗な女共に酌でさして、酒をあがつて西郷や大久保共がする芝居を見物なさるがようござる。大久保共が行きつまつたりしますと、其時ァちょいと指図をしてやつてくださるとようござひませう」。先生は阿々と笑つて頷かれた」(※2)

●…変体仮名だと思うのですが、読めず。。。調べ中。カタカナのムにしか見えない。
→「さつま人国誌<幕末・明治編>(桐野作人著)で同じ部分の引用を見つけ、●は「ござ」と修正しました。(2014/10/25 追記)

坂本龍馬が横井小楠に、大久保や西郷がどういった人物か語っています。
個人的には、云々の中身が知りたいですが。
酒をあがつて西郷や大久保共がする芝居を見物しとけって、いった比喩の仕方が坂本らしいですね。

こういったエピソードを見ると、坂本と大久保が会ったことがないとか、大久保が坂本のことを邪魔だと思っていたとか、そんなことは全然ないとわかりますね。



(※1)「青山白雲」(59頁より抜粋)
(※2)「青山白雲」(60頁より抜粋)



◆参考文献
・「青山白雲」(徳富蘆花/民友社)明治31年
・「大久保利通 維新前夜の群像(5)」(毛利敏彦中央新書1969
・「さつま人国誌<幕末・明治編>」(桐野作人/南日本新聞社/2009)



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